医療広告ガイドライン
医療広告ガイドラインQ&Aの要点:歯科医院がよく迷う14の質問
この記事のポイント
- 厚生労働省の「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」は令和8年3月に改定され、現場で迷いやすい論点に答えている
- 「無料相談」「費用の太字」は可。ただし費用を前面に押し出す表現は不可。治療効果を数値で示す表現や「痛くない治療」は不可
- バナー広告は広告できる事項の範囲で。リンク先の医院サイトは限定解除の条件を満たせば自由診療の詳しい情報を載せられる
医療広告ガイドラインは、文章を読むだけでは判断に迷う場面が多くあります。そこで厚生労働省は、よくある質問への答えを「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」としてまとめ、改定を重ねています。最新版は令和8年3月の改定です。
この記事では、そのQ&Aから歯科医院がよく迷う14の質問を選び、答えの要点を整理します。カッコ内はQ&Aの質問番号です。ガイドライン全体の考え方は医療広告ガイドラインのまとめ、実際のNG例は違反事例12をご覧ください。
本記事はQ&Aの要点の整理です。正確な文言は原文を確認し、個別の判断は医院を所管する自治体(保健所など)にご確認ください。
表現・言葉
| 質問 | 答えの要点 |
|---|---|
| 「無料相談」と書ける?(Q2-12) | 可。無料で健康相談をしている旨は広告できる。ただし費用を強調して品位を損なう表現は慎む |
| 費用を太字・下線で示してよい?(Q2-5) | 分かりやすくするためなら可。費用を前面に押し出す広告は適切でない |
| 「2週間で90%に効果」と書ける?(Q2-16) | 不可。治療効果は患者さんの状態で異なり、誤認を与えるおそれがある |
| 「歯を削らない」「痛くない」は?(Q3-22) | 「歯を削らない」は適正な医療を提供できる範囲で可。「痛くない」は根拠がなく不可。満足度などの数字は、求められたら合理的な根拠を示せる必要がある |
| 「審美治療」と書ける?(Q3-18) | 不可(何の治療か明確でない)。限定解除の条件を満たしたウェブサイトなら載せられる。ホワイトニングは承認された医薬品を使い、自由診療である旨と標準的な費用を書けば可 |
| 歯科インプラントの自由診療は?(Q3-9) | 承認された医療機器を使う治療に限り、公的医療保険が適用されない旨と標準的な費用を併記すれば可 |
写真・口コミ
| 質問 | 答えの要点 |
|---|---|
| 手術の「前だけ」「後だけ」の写真は?(Q2-8) | 前後の写真と同じく、誤認させるおそれのある治療効果の表現にあたる |
| 医院サイトに口コミを載せてよい?(Q2-9) | 患者さんの主観や伝聞による体験談は禁止。医院に有利な感想を選んで強調すると虚偽・誇大にもあたる |
| 口コミのランキングサイトは?(Q2-10) | ランキングで特定の医院を強調すると比較優良広告にあたる可能性 |
| 患者さんがSNSに感想を書くのは?(Q2-11) | 医院が費用を負担して依頼するなど誘引性がなければ広告にあたらない。依頼すれば広告になり得る |
| 検索サイトに載っている体験談は?(Q1-18) | 医院が肯定的な投稿を依頼した場合(有償・無償を問わず)や、運営者が医院に有利に編集・並べ替えをした場合は規制の対象 |
広告の形と限定解除
| 質問 | 答えの要点 |
|---|---|
| バナー広告の扱いは?(Q1-7) | 医院名などで特定できるバナーは広告にあたり、広告できる事項の範囲でのみ載せられる。リンク先の医院サイトは、限定解除の条件を満たせば自由診療の詳しい情報を載せられる |
| 問い合わせ先に「予約専用」の電話番号だけでよい?(Q6-10) | 不可。問い合わせできる旨がない予約専用番号、自動音声だけで折り返しがない電話、受付返信だけで回答のないメールは条件を満たさない |
| 限定解除の記載で気をつけることは?(Q6-11) | 患者さんが容易に見て分かること。極端に小さい文字、背景と同じ系統の文字色、情報量を増やして見落とさせる書き方は認められない |
Q&AのQ6-12では、自由診療のリスク・副作用について「時間の経過によって体内へと吸収され、元に戻る」とだけ書く例は、条件を満たしていないとされています。治療の内容・費用と、主なリスク・副作用の両方を書く必要があります。詳しくは限定解除とはで解説しています。
違反したらどうなるか・どこに相談するか
- 相談先(Q5-1):医院を所管する自治体や保健所。厚生労働省のホームページに問い合わせ窓口の一覧があり、ネットパトロールへの通報もできます
- 広告会社やサイト運営者も対象(Q5-2):医療広告の規制は誰にでも適用されるため、検索サイトやポータルサイトの運営会社、広告代理店にも是正命令や罰則が科されることがあります
医院が依頼した広告会社が作った表現でも、医院の名前で出る以上、責任は医院にも及びます。私たちが広告やLPを制作するときも、公開前にQ&Aの観点で表現を確認しています。
まとめ
- 表現は「根拠を示せるか」「誤認を与えないか」で判断する
- 口コミ・体験談は、医院が選ぶ・頼む・編集させると規制の対象になる
- 広告そのもの(バナー・リスティング)には、広告できる事項しか載せられない。詳しい情報は限定解除の条件を満たしたサイトに載せる
参考資料
- 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(令和8年3月改定):https://www.mhlw.go.jp/content/001683595.pdf
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
よくある質問
医療広告ガイドラインのQ&Aはどこで読めますか?
厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページに、「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」が掲載されています。本記事は令和8年3月改定版をもとにしています。
「無料相談」と書いてもよいですか?
Q&A(Q2-12)では、無料で健康相談を実施している旨は広告できるとされています。ただし、費用を強調して品位を損なう表現は慎むべきとされています。
違反の相談はどこにすればよいですか?
Q&A(Q5-1)では、医院を所管する自治体や保健所に相談するとされています。厚生労働省のホームページに問い合わせ窓口の一覧があり、ネットパトロールへの通報もできます。