医療広告ガイドライン
ビフォーアフター・体験談・口コミの線引き:医療広告ガイドラインで載せられるもの
この記事のポイント
- ビフォーアフター写真は、治療内容・費用・期間や回数・リスクや副作用の説明を、写真と同じ場所に付ければ載せられる
- 治療内容や効果に関する患者さんの体験談は、医院のサイトに載せることが禁止されている。口コミの転載・抜粋も同様
- 患者さんが自発的にSNSや口コミサイトに書くのは広告にあたらない。医院が投稿や編集を依頼すると規制の対象になる
矯正やホワイトニングのように見た目が変わる治療では、症例写真や患者さんの声は、医院の信頼を伝える強い材料です。一方で、医療広告ガイドラインでは、ビフォーアフター写真は条件つきで可、体験談は禁止と、扱いがはっきり分かれています。
この記事では、厚生労働省の事例解説書(第6版)とQ&A(令和8年3月改定)をもとに、歯科医院のサイトやSNSでの線引きを整理します。
本記事は公開資料の整理です。個別の判断は、医院を所管する自治体(保健所など)にご確認ください。
ビフォーアフター写真:説明を同じ場所に付ければ載せられる
治療前後の写真そのものが禁止されているわけではありません。通常必要とされる治療内容、費用、期間・回数、主なリスク・副作用などの詳しい説明を付ければ載せられます。
事例解説書では、次のような形が認められない例として挙げられています。
| NGの形 | 理由 |
|---|---|
| 「審美面・機能面ともに回復しました」「治療費は1,500,000円〜」だけ | 治療内容・期間・リスクなどの説明が足りない |
| 写真をクリックしないと説明が出ない | 説明が写真と一体になっていない |
| 写真の横には説明がなく、料金ページへのリンクだけ | 説明をリンク先にだけ置いている |
| 説明が利点に比べて極端に小さい文字 | 容易に読めない |
| バナーやSNS投稿に写真だけ | 同じ写真でも、説明がなければ認められない |
| 素材写真を加工・修正したもの | 虚偽広告にあたる |
Q&A(Q2-8)では、手術の前だけ・後だけの写真も、前後の写真と同じく誤認を与えるおそれのある表現とされています。
症例写真に付ける説明の例(矯正歯科)
- 主訴・治療内容(装置の種類など)
- 治療期間・通院回数
- 費用の総額(自由診療である旨)
- 主なリスク・副作用
これらを写真のすぐ下など同じ場所に、読める大きさで書きます。サイトで自由診療の詳しい情報を載せるには、限定解除の4条件も満たす必要があります。
体験談:医院のサイトに載せるのは禁止
患者さんの主観や伝聞にもとづく、治療内容や効果に関する体験談を広告に載せることは禁止されています(Q&AのQ2-9)。医院に有利な感想を選んで強調すると、虚偽・誇大広告にもあたるとされています。
「患者さまの声」として、治療の感想や効果を紹介するページは避けます。スタッフが書いたもの、アンケートの結果として紹介するものも、体験談として同じように扱われます(医療広告ガイドラインのまとめ)。
口コミ:どこからが規制の対象か
口コミは、誰が書き、医院がどう関わったかで扱いが変わります。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 患者さんが自発的に、自分のSNSや口コミサイトに感想を書く | 誘引性がなければ広告にあたらない(Q2-11、Q1-18) |
| 医院が口コミの投稿を依頼する(謝礼の有無を問わず) | 誘引性が生じ、規制の対象(Q1-18) |
| 口コミサイトの口コミを、医院のサイトに転載・抜粋して載せる | 禁止(事例解説書) |
| 医院の依頼で、運営者が否定的な口コミを削除・改編し、肯定的なものを残す | 禁止(事例解説書) |
| 口コミをもとにしたランキングで、特定の医院を強調する | 比較優良広告にあたる可能性(Q2-10) |
名誉毀損などにあたる口コミの削除を依頼すること自体は、医療法違反にはあたらないとされています。
信頼を伝えるために、代わりにできること
体験談が使えなくても、信頼を伝える方法はあります。
- 院長・医師の考え方や経歴を伝える:どんな方針で治療しているか、どんな経験があるか
- 治療の流れと費用を分かりやすく示す:初診から治療終了までの流れ、費用の総額の目安
- 条件を満たした症例写真を載せる:説明を同じ場所に付ける
- カウンセリングで丁寧に説明する:サイトで伝えきれないことは、相談の場で補う
私たちが支援している医院でも、院長のInstagramで人柄や考え方を伝える導線を設計しています(事例レポート)。SNSの投稿でも、症例写真には同じ説明が必要です。
まとめ
- ビフォーアフター写真は、治療内容・期間・費用・リスクを同じ場所に付ければ載せられる
- 治療内容や効果に関する体験談は、医院のサイトに載せない
- 口コミは、医院が依頼・選別・編集した時点で規制の対象になる
参考資料
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」:https://www.mhlw.go.jp/content/001683116.pdf
- 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(令和8年3月改定):https://www.mhlw.go.jp/content/001683595.pdf
よくある質問
ビフォーアフター写真は載せられますか?
通常必要とされる治療内容、費用、期間・回数、主なリスク・副作用などの詳しい説明を写真と同じ場所に付ければ載せられます。説明がない、リンク先にしかない、極端に小さい文字で書かれている、といった形は認められません。手術の前だけ・後だけの写真も同じ扱いです。
Googleマップや口コミサイトの口コミを医院のサイトに載せてもよいですか?
治療内容や効果に関する体験談の掲載は禁止されています。事例解説書では、口コミサイトの口コミを全件転載したり、有利なものを抜き出したりして載せる例が違反とされています。
患者さんに口コミを書いてもらうようお願いしてもよいですか?
Q&Aでは、医院が肯定的な投稿を依頼した場合は、有償・無償を問わず誘引性が生じ、規制の対象になるとされています。患者さんが自発的に書いたものは、広告にあたりません。